衝動 失語

衝動性と精神看護 (精神看護エクスペール)

衝動性と精神看護 (精神看護エクスペール)

衝動というのはやっかいなもので、精神医療に携わっていると多分に衝動行動に対する対処に苦慮することになる。言葉の定義を言えば、単に「欲求を我慢できずに行動が突き動かされる」というだけでは不十分。この本では、その精神医学的理解の章で以下のように定義される。
衝動性:その人が決断・実行するまでにじっくりと考えざるを得ない状況であったならばその人が選択しないような非合理的行動を導く内的な変化である。

そういった言葉の理解、脳科学的側面からの解説から始まり、様々な疾患でどのような衝動性が問題となるかの具体例、それへの対処、さらには衝動性を発揮させないような、もしくは発揮されたときにどのような態度で臨むのかの治療態勢(チーム、病棟)について非常に具体的に記述されていて有り難い。知らないと怖いのだ。

そもそもいわゆる医学書では脳科学的理解のみが取り上げられ、また治療に関してもやや上の方から眺めるような記載が多く、それのみではいざ場面に直面したときや、それに直面する人にどのようにしたらよいのか考えることが難しい。

千葉のS療養所は昔から薬物依存症者の治療で有名な病院だが、その堅牢強固な病棟と、厳しい看護体制が有名だった。
しかし、患者による威嚇・暴力をおそれる余り、個々の看護職員に裁量権は与えられず、いつでも「それは医師に聞いてから」という対応をしていたため、看護職員が常に患者から権威を与えられず、威嚇の対象になることをおそれて情報共有も上手く行かずに危険は増した。
そんな中、個々の看護師にも責任を付与し、患者の不満や逸脱行為への注意に対し「矢面に立つ」ことにした上で情報共有を徹底することで、患者は看護師を頼りにするようになり、いたずらに依存病棟への恐怖感を抱くことは無くなったという。

失語症 治療へのアプローチ

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