「プリオン説は本当か」

ブルーバックスプリオン説はほんとうか?」を読む。
著者は青山学院大教授福岡伸一

プリオン説とは、狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病で知られる伝達性スポンジ脳症の病原体本体は、感染性を持ったタンパク質である、という仮説である。

1つの個体から別の個体へ感染するという性質を持つものは必ずDNAもしくはRNAといった核酸を持つ常識に反して、タンパク質そのものが変異して、正常型を次々と変異型に変え、ついには病気を発症させるというプリオン説は一世を風靡し、提唱者のプルシナーはノーベル賞を受賞し、現在も真実と一般的には信じられている。

しかし、実はこの説、かなり怪しい。というのもプルシナー自身が精製した最終分画は感染性を持たず、他の様々な証拠も非常に小さな核酸を持っていることを示唆するデータであったりするからだ。

怪しさは以前から知っていたが、専門のレビューを読むのも面倒なので、今回は一般書ですませた。
とはいえ、第一線の研究者が書いた本であり、反プリオン説の立場からの論証は説得力があって面白かった。

プルシナーのノーベル賞受賞は1997年。当時自分は大学3年生で、分子生物学に興味を持って勉強していた。
タンパク質が感染性を持つ、という意外さに興奮した覚えがある。が、それもこの頃は反論の方に納得することが多い。
それに、プルシナー始め、大胆なことを主張する科学者のアクの強さ、自己顕示欲、権力誇示の性向を知るにつれ、どうもあの手の人たちは科学に対する謙虚さに欠けているとしか思えない。

それにしても、狂牛病病原体の性質を知るにつれ、アメリカの杜撰な検査法には怒りを感じざるを得ない。
日本政府の弱腰も悲しくなるねぇ。

そうそう、プリオンと言えば自分は1988年に英国滞在歴があるからできないんだよなー、と思って確かめたらまだそうだった。
ついでに献血で検索すると結構面白い。
献血ランキング…うーん、すごいな。
学生の頃は自分もやったけどそれでも十数回。癖になる気持ちはわからないでもない。





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