「ベルカ、吠えないのか」
実験は手の空く時間も長いので、その間に、古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」を読む。
今年の直木賞候補作。この作品こそ!と願っていた人が多かったようだ。
- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/04/22
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1943年アリューシャン列島にある、アッツ島では日本軍玉砕。キスカ島からは極秘の撤退が遂行され、アメリカ軍が上陸したとき、4頭の軍用犬が残されるのみであった。
日本軍の軍犬として3頭、北海道犬の北、シェパードの正勇、勝、アメリカ軍からの捕虜犬、シェパードのエクスプロージョン。
4頭ともアメリカ軍に拾われ、その後このたくましい4頭たちとその子孫の系譜を追いながら、話は戦後のアメリカ-ソ連対立の歴史を犬に語らせていく。
視点が新鮮で、犬に物語を語らせるといって、擬人化がひどくされているわけではない。人間たちの争いが軍用犬の戦後史という側面から描かれるのが面白い。
戦後史と本当に近い過去(1999年)が交互に出てくるため、ソ連における、チェチェンマフィアとロシアンマフィアの抗争に日本のヤクザが絡む、なんてところもあったりする。
ところで、アッツ島って南の島ではなかったのね…あぁ今までの思いこみが恥ずかしい。
ちなみにキスカ島からの脱出は映画にもなっている。
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