死滅しちまったい… 秀潤社と羊土社の本

朝実験室に行き、飼っている細胞が順調かなーと鼻歌交じりに顕微鏡を覗くと…あぁみんな死んでいる。何故だー。昨日元気だったのに…。

細胞たちは普通、標準液体培地に牛胎児の血清と抗生剤を添加したもので培養し、培養中はCO2濃度を5%、温度を37度に保ったCO2インキュベーターという中に入れておく。
細胞は、細菌やカビに弱いのでそういうものの増殖がないように(コンタミを防ぐという)清潔操作が必要。
この清潔操作に問題が生じ、コンタミすると細胞は死滅してしまう…のだが、今回はどうもコンタミのせいではなさそう。そういう雰囲気ではないのだ。印象としては、培地に添加した血清のせいではないだろうか。
というわけで、新しい血清を使って改めて培地を作ったりする一日だった。

ところで、何故細胞を飼っているのかというと、それはルシフェラーゼアッセイのため。
遺伝子の蛋白をコードしているエクソンの上流域には、mRNAへの転写を開始させるプロモーターと呼ばれる蛋白群が結合するプロモーター領域がある。そのプロモーター領域の活性を調べる手法の1つにルシフェラーゼアッセイというものがあったりする。

プロモーター領域にある塩基置換がどの程度プロモーター活性に影響するのか、というのを調べるのだが、そのためにはいくつかのステップがある。

①DNAからプロモーター領域を制限酵素で切り出す。
②蛍の発光蛋白ルシフェラーゼの遺伝子を組み込んだ環状DNA(ベクタープラスミド)のクローニングサイトを制限酵素で切る。
③①で切り出したDNAを②のクローニングサイトに挿入する(ライゲーション)。
④ライゲーションしたプラスミドを細胞に振りかけて感染させる。
⑤プラスミドに感染した細胞はルシフェラーゼを発現させる。
⑥その活性レベルをルミノメーターという計測機械で測る→塩基置換によってこの活性が変化するのがわかる。

あーあ、実験を進めるのも時間がかかりそうだ。
一緒に実験をやっている先生のお言葉。
「愛情不足です。愛情を添加してください。5ccくらいでいいです。」

ちなみに細胞はこんな所から買ったりする。
http://www.atcc.org/
http://www.brc.riken.jp/

細胞を飼うために参考にしている本は、研究者なら誰でも持っているこの本。

バイオ実験イラストレイテッド〈6〉すくすく育て細胞培養 (目で見る実験ノートシリーズ)

バイオ実験イラストレイテッド〈6〉すくすく育て細胞培養 (目で見る実験ノートシリーズ)

遺伝子関連実験も、この秀潤社のシリーズが参考になるが、最近のお気に入りはこの本。