星雲・星団ウオッチング

宇宙飛行士ものを幾つか続けて読んだせいか最近復活しつつある星への興味。
久しぶりに雑誌「天文ガイド」などを立ち読みすると、天体望遠鏡の特に架台の進歩に驚く。もう天体自動導入は当たり前。中学生の頃から望遠鏡メーカー、ビクセンは「マイコンスカイセンサー」なる天体自動導入装置を販売していたけれど、今は赤道儀だけでなく経緯台にもつけて、曲軸合わせなしに3つの基準星を導入してセットアップすれば思いのままに目的の天体を導入できる。


その昔を思い出すと、生まれ育ったのが東京のど真ん中だったためほとんど夜空に星を見ることはできず、壮麗な天体写真を見ながら、あぁこんなのが肉眼で見られたら、と憧れていたもの。で、実際の星を見ないで「天文ガイド」を見ていると、いつのまにか、星そのものではなくて、天体望遠鏡マニアになってしまった。あぁ悲しい中学生時代。まぁ親父に買ってもらったタカハシのFC76なる天体望遠鏡(一応名機とされていた)で、月や惑星といった東京でも問題ない天体ばかり覗いておりました。


しかし、いくら天体自動導入装置が進歩したからって、そういう+αを使うのは感覚的には気に入らない。何となく美しくない。
天体マニアなら次から次に淡い星雲・星団を望遠鏡の視野に入れていって欲しいもの。
それを目指して買いました(ずっと昔。本棚にひっそりと残っておりました)。

星雲星団ウォッチング―エリア別ガイドマップ

星雲星団ウォッチング―エリア別ガイドマップ

星雲・星団は盛んに新しい星を生み出すガス雲(M42:オリオン大星雲)であったり、若い星々がぱらぱら集まっている散開星団(M45:プレアデス星団、すばる)だったり、他の銀河系(M31:アンドロメダ大星雲)だったりするわけだが、肉眼でその位置を見つけるのは慣れていないとちょっと難しい。
だからといって、漫然と星図と星空を比較しても、特に夜空のきれいな程、星が見えすぎて「あぁ何が何やら全くわからない」と悲しいことになる。

この本は優れもの。
どの星を目印に大雑把にどれくらい移動させれば、目的の星雲があるかをかなり直感的に掴むことができる星図が星雲・星団の紹介と一緒に出ている。
子供の頃欲しかったなぁ。


ところで大学に入って星への興味を持続させていたら女性にもてたりしたんでしょうか。確かに「星に興味がある」というと何となくそれは格好いい気がするけれど。
でもかつて天文同好会にいた頃、星の観察といえば、夜空の澄んだ冬はガタガタと身体を震わし、鼻をすすりつつ、まさに苦行と言うべきものだったし、夏は夏で我が家はゴキブリが多くて、望遠鏡で土星なんぞを覗いていると目の前をゴキブリが通り過ぎていく悲しい環境だった。

そう、大学に入ったら「夜は星なんか眺めていないで女の子と過ごそうよ」と結論づけたし…。星好きのもてる男は存在するのでしょうか。


ちなみに星雲・星団の実際の見え方、というのはとっても控えめなものです。決して写真で見るような華麗・壮麗・雄大なものではないので注意。
といって、がっかりするものでもなく、接眼レンズにまで届いてきた遙か彼方の星達の輝きは何となく愛しいもの。
そんな星雲・星団の実際の見え方をスケッチで描写した良書はこれ。

見ておもしろい星雲・星団案内

見ておもしろい星雲・星団案内

ただ、著者の大野裕明さん。あれ、こんな人だったっけ?面白いおじさんだったのね…。
http://www10.ocn.ne.jp/~space84/