ノルウエイの森 アトランタ

今更ながら…。

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)
装幀はやはり単行本がいいな。

ノルウェイの森(下)

ノルウェイの森(下)


19歳から20歳にならんとする主人公が、ある女性に運命的な結びつきを感じ、それを受け入れることには何のためらいもないくせに、目の前の別な女性に抗うことが出来ず惹かれていく、という状況。そんな気持ちの変化を自覚しつつ、罪悪感も持ちながら、新しい関係に呑まれていく主人公の言葉は、相手のことを考えて言葉を選び、思いやりを示しているつもりでいる恋愛関係における、しかし実際は身勝手な心情を上手くなぞっているような気がした。


ベストセラーになった頃、「ポルノ小説じゃん」と評する知人もいたなぁ。そういう風な小説なのかなと思いつつ読んでいたけれど、恋人であればここに書いてあるとおりのことをしなくてどうするの?という感じ。ただやることを正直に描写しているだけ。もっともややハードボイルド的に男に都合いいけど。


「イチゴのショートケーキが食べたい」と言って男に買ってこさせ、でもそれを窓から投げ捨てて、「今は別なケーキが食べたいの。そして、ごめんよ緑、気が変わるのも推察すべきだった。僕は無神経だった。別なものを買ってくるよって言って欲しい。」、そこに愛を感じる、と言う緑さんの操作的なところはプチボーダーラインっぽくていいですね。


主人公が何度も読み返すのはフィッツフェラルド。

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)


ところで、今私はアトランタにいる。Scociety for Neuroscienceという学会に出席するため。暑いのかと思ったら雨降りで寒く、どんより。
オリンピック記念公園からCNNを臨む図と、部屋からの眺め。晴れていればきれいなんだけど。