博覧図 

県立中央博物館、深海魚展の次は、「博覧図に見る明治期の千葉県」。


「博覧図」とは、明治20年代に、東京・精行社が刊行した銅版画集のことで、文明開化にふさわしい事業を行って業績を上げた人々の事跡や邸宅をまとめたもの。
描かれているのは、農家・商家・官公庁、学校、寺社、工場などなど。細密で建物の描写は忠実、当時の風俗も示しているから歴史的価値も高いそうな。


千葉といえば醤油工場多し。野田に行けばキッコーマン、銚子に行けばヤマサ、ヒゲタ。銚子に降りると醤油くさいらしい(行ったことはない)。外国人によると成田に降り立つと醤油臭いとか。日本人は無臭だと思っていたけれど、醤油臭いとも聞いた。分かちがたいのだ。

で、醤油はかつては樽に入れて保存・販売されたから醤油の産地には樽職人たちが集まっていたらしい。しかし一時は1200人もの樽職人がいた野田にも今はわずか2人が残るばかり。
質の良い秋田杉からつくられる醤油樽工程のビデオは見てみると面白かった。特に側板をびしっと立てて並べる場面はなかなか。商標の押される3本の板はとりわけ木目のきれいな板を使う。
↓この人の技が見られます。
菅谷 又三 / 和樽



さて、博覧図の歴史的意義はともかくとして、見応えのある版画が沢山見られて嬉しい。
版画、好きなのだ。
千葉県で版画家といえばヤマサ醤油10代目の三男、浜口陽三(でも生まれは和歌山県らしい。千葉県生まれだと思っていた…)。千葉市美術館に行けば見られることも多い。
けど行きたいのはここ。
TAB スペース - ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション


浜口陽三はメゾチントを復興させた人で、それもカラーの技法を創案した。とても微妙な色の味わいが印象的で素敵な小品が多い。サクランボとかメロンとか、蝶とか。色の濃淡の微妙さが、暗い画面の中に浮かび上がる。


メゾチントの版画家が出てくるといえば、北村薫かな。

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)


ところで県立博物館のある青葉の森公園内には彫刻が多い。

可愛いけど取り残される一匹の子豚…。