偏頭痛

頭痛がひどい。風邪の悪化だと思うのだが、しかし何とはなく吐き気もあり、そうはいっても飯は食えるし、違うかなと思えど、身体を動かすと悪化して、音や光にいつもよりは過敏だったりすることから偏頭痛のような気も…。
もっともこうしてパソコンには向かえる程度だから大したこと無いとお叱りは受けそうな気もする。


偏頭痛はよく自己診断している人がいるが大抵は筋緊張性頭痛というやつだ。肩こりの人が多く、肩〜首の緊張、精神的ストレスによって悪化する。大抵は抗炎症剤(NSAIDS…一般の頭痛薬)が効くが、効果が乏しければ筋弛緩効果のある薬が役立つこともある。


一方偏頭痛は頭痛時に吐き気を伴い、光・音に過敏となり、動くことを嫌う。拍動性と言われることもあるが、そうでないことも多い。痛みの前の特徴的な前兆を閃輝暗点といって、視界にチカチカした光が出現し、それが拡大して暗く見えるという。これがあるのを古典型と呼ぶが、無い人も多い。また筋緊張性頭痛と合併する混合型頭痛を呈する人も多い。


私の場合、前兆は伴うことも、伴わないことも。前兆としてあるのは、視界に強い光を見た後の残像のような弧を描いた何となく明滅するような点の集合体が現れ、それがなかなか消えない、というものだ。いざ頭痛が起きれば大抵は動けなくなる。暗くて静かな部屋に1人でこもっていたくなり、社会不安も悪化する。


特効薬としてスマトリプタン系薬剤なるものが出て、いい時に医者になった!と感動したが、偏頭痛は歳と共に軽減する傾向にあるので、仕事を始めるとさっぱり出ず。製薬会社の人は薬を試してもらいたいらしく、「まだ偏頭痛になりませんか?」としょっちゅう聞いてくる始末。まだですよ、と答えると、「そうですか〜」とため息。なりたくないわ!


で、いざ発作を起こして、辛いながらもほくそ笑みつつ試してみると、確かに頭痛と吐き気は良くなった。が、しかし、肩が猛烈に痛くなり、頭痛とどちらが辛いかよくわからない…という経験をし、今では結局余り効果がないけどNSAIDSだけを使うことが多い。あぁ悲しい。ちなみにスマトリプタン系薬剤は狭心症に禁忌でもあり、もしかして冠血管を収縮させて放散痛が肩に出ているのでは?と不安に思っていたが、どうやらそうではないらしい。まぁ頻度は少ないし、実際患者さんに出してみるとほとんど喜ばれるので、偏頭痛の人は試してみるべきだ。吐き気があって飲めなくても、鼻に突っ込むスプレー(イミグラン)や、口の中でぼろっと溶けるやつ(ゾーミック、マクサルト)もあるから服用しやすい。高いのが欠点。10錠も出すと青ざめる人も。


予防にはβブロッカーやらバルプロ酸やら言われるがエビデンスに乏しい。発作が続いたときには服用を考えたが結局見合わせている。前兆っててんかん発作と近いんじゃないのか?と思わせるものがあるから、バルプロ酸はいいような気もしたけど、メカニズムはやはり大きく違うらしい。
以前は発作が出てくる直前にエルゴタミン製剤をという時期もあったが、そもそも効果が乏しくNSAIDSと併用できない不便さもあって不評なはず。


さて、偏頭痛といえばオリバー・サックス
中には幻覚を見る人もいるなど、その発作は多様性に富むようだ。

サックス博士の片頭痛大全 (ハヤカワ文庫NF)

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偏頭痛百科―サックス・コレクション (サックス・コレクション)

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