パプリカ 1973年のピンボール

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

今やっているアニメ映画の原作。
精神科医千葉敦子を主人公にしたはちゃめちゃな精神分析小説。
千葉はDCミニという、個人の夢の中に入っていくという機械を駆使してクライアントの心理深層に潜む症状の基を顕在化するのだが、ノーベル賞級のその技術は対立する一派に狙われて…というお話。

正直あまり面白くなかった。でもアニメで映画化というのは楽しいかもしれない。夢と現実の混淆した描写が後半続くのだが、アニメで見ると映えるんじゃないかな。

それにしても、危ない表現が多すぎるんじゃないですか、筒井先生と言いたくなってしまう。今時ここに描写されるような夢を素材にした分析治療がされることなんてほとんど無いし(全然無くはないのだろうが、化石的存在でしょう)、おまけに「伝染性の分裂病」だなんて。
筒井康隆だからな〜全て承知で読者をからかっているんだよねぇとそれはわかるんだけど、お願いだから本気に取る人でないでね、と願わずにはいられない。

ちなみにこの後筒井は断筆宣言した。


1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

村上春樹のデビュー2作目。自分が村上春樹を読み始めてからは6作目。
後の作品世界、登場人物につながる多くの場面が出てくる重要な作品らしい。
主人公としばらく暮らす双子の女の子たちなんて実に素敵に思えるけど、気障すぎる文章にはちょっと…と思ってしまう。いや、面白かったですけどね。