切腹
日本は非常に自殺率の高い国である。年間自殺者数は1998年以降3万人を常に超え、10万人当たりの自殺数は25.5(2004年)で、先進国中では常にトップである。責任や名誉を重んじての自殺も多く、日本独特の文化とさえ言える。
そんな自殺の中でも特に凄惨なものは切腹なわけで、さすがに現代では正式な作法に則った切腹は少ないだろうが、腹刺し、というレベルでは救急で結構見かけるものだ。
さて、切腹というといつも乃木希典を思い出してしまう(死の名場面―喝采!人生の終わり方 (ワニ文庫)←絶版だが、amazonで古本が買える)が、いつからあるものなのか。
- 作者: 山本博文
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/05/16
- メディア: 新書
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武士の自殺というと切腹が思い起こされるが、そうなったのは鎌倉時代以降のようだ。切腹は「もっとも勇名と気力を要する」ものであったから、それが武士の自死方法として定着した。あくまで、「自主的に」されるために、名誉と不可分で、刑罰としても斬罪(打ち首)になるのは不名誉であった。赤穂浪士四十七士は切腹に処せられた。彼らは公儀(=幕府)の禁ずる仇討ちをしたのだから、本来は斬罪相当であるにもかかわらず切腹を命ぜられたため、大石内蔵助は「有り難き仕合わせに存じ奉り候」と受けたのである。
数々の切腹例が語られているこの本だが、中にはとても軽微な罪で切腹を命ぜられた例も挙げられている。薩摩藩では門限に遅れただけで切腹となった藩士がいるし、江戸城で袴をまくり上げただけで不届きとして切腹になった武士もいる。うーん…。
そんな日本の切腹が海外の本でも取り上げられないわけはない。
- 作者: マルタンモネスティエ,Martin Monestier,大塚宏子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 1997/04
- メディア: 単行本
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第2章、「なぜ死ぬのか?」ではこう書かれている。
>>忠義心による自殺をもっとも多く行っていた民族は、おそらく日本人以外にはない。…日本では、忠誠を示す唯一の証拠として自殺に至る場合がある。歴史的にもっとも有名な例の1つで、この際だった特徴を明白に示しているのは、四十七士の例である。<<